学校長挨拶
令和7年(2025年)4月より校長を拝命いたしました西巌弘です。平素より、同窓生の皆様には舟入高等学校の教育活動に対し、深いご理解と温かなお力添えを賜り、心より感謝申し上げます。
現在、本校は校訓「おのれに徹して人のために生きよう」のもと、「平和」「国際」「探究」の三つを教育の柱としています。長年の先輩方が築かれた、多様性の中で豊かな人間性を育む校風は、今も脈々と受け継がれています。
特に「平和」を希求する心の育成と継承・発展は、同窓会の皆様のご尽力によるところが大きく、在校生は、舟入・市女同窓会発行の「証」をはじめとする貴重な資料から学ぶことを通して、市女の被爆の記憶は自らにつながる歴史であると深く意識しつつ、平和な世界の実現を生涯の使命と自覚し、その思いを受け継いでいます。
毎年行われる「市女慰霊式典」には、部活動等を通して多くの生徒が参加しています。また、平和学習(総合的な探究の時間)における「碑めぐり」では、すべての生徒が市女慰霊碑を訪れ、その意味を深く噛みしめています。こうした慰霊や参拝のための環境を整えてくださっている同窓会の皆様に、改めて感謝申し上げます。
このような心の基盤のもと、生徒たちは、広島を訪れる世界の若者と対話する「青少年国際平和未来会議」や、欧米で開催されるNPT(核不拡散条約)再検討会議準備委員会において、核兵器廃絶に向けたメッセージを英語で訴えるなど、世界平和への参画の息吹を確かに育んでいます。
さらに、本校は長崎県立長崎東高等学校と連携協力協定を結び、両校の生徒が力を合わせ、最新のデジタル技術を活用した新たな平和の伝承方法を開発しました。この成果は、大阪万博の「高校生みらい万博」において共同発表され、平和な世界の実現に向けた取り組みとして未来へとつながっています。
こうした活動は、市女創立以来100年を超える歴史の継承と発展の一端であり、ドイツ・フランス・韓国の姉妹校との交流で培われる国際感覚や、生徒一人ひとりが「自分だけの問い」を持ち、地域課題から国際問題まで主体的に探究する姿勢の中にも息づいています。
また、毎年複数の部活動が全国大会や中国地区大会に出場しています。こうした生徒の活躍の背景には、同窓会の皆様の温かな応援とご支援があり、さらに舟入祭(文化祭)や合唱祭での千田保育園園児との交流など、同窓会や地域との結びつきが、生徒の心の支えと原動力になっておりますこと、重ねて感謝申し上げます。
これからも、皆様が歩まれた学び舎の誇りを守り、教育の充実に努めてまいります。どうか次代を担う舟入生の挑戦を温かく見守っていただくようお願い申し上げますとともに、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げ、挨拶といたします。
広島市立舟入高等学校
校長 西 巌弘